2017年5月22日月曜日

「ヤゴから見えるトンボの不思議」@松崎町ギャラリー侘助

もう、半ばを切りましたが、現在、静岡県賀茂郡松崎町の「ギャラリー侘助」にて、「ヤゴから見えるトンボの不思議」と題した個展を開催しております。/29まで。火曜日・水曜日は定休日です。

会場の様子です。





連絡が遅くなって申し訳ありません<(_ _)>

さて、さらに今回、メインテーマのひとつに据えたのが、
「プールのヤゴ救出作戦-学校プールのトンボ池化計画」でした。

私のトンボ学の先生である日本トンボ学会会員であり、「房総蜻蛉研究所」代表の互井賢二氏の提案と互井先生自ら作成した資料論文とともに自作のイラストを付けて展示しております。



学校プールでの水泳教室が始まる前にプールの清掃がありますが、その際にヤゴが見つかることがよくあります。これは、水泳教室が終わった秋に、赤トンボなど、水面に直接産卵した種類のトンボの卵が翌年の春に孵化し、ヤゴに成長したものです。ただし、プールの状態がそのままだった場合、ヤゴの種類・個体数はプールによって非常なばらつきがあり、全くヤゴがいない場合も珍しくありません。今回は、水泳教室以外の時期に、プールの環境に簡単に手を加えるだけで、ヤゴの種類・個体数ともに安定させる(これこそ「トンボ池化」です)方法を提示したものなのです。

その、ヤゴ(トンボ)を安定して繁殖させる条件として

(1) 産卵場所の設置 (2) エサと隠れ家の確保 (3) 羽化場所の設置

が重要なポイントとなります。








#「ヤゴから見えるトンボの不思議」@松崎町「ギャラリー侘助」
#「プールのヤゴ助け」 #「プールのヤゴ救出」

2017年5月11日木曜日

クロスジギンヤンマ♀-♂異色型と♂同色型

クロスジギンヤンマの♀は通常(♂異色型)の腹節斑紋の色は♂と異なっていて、茶色がかった黄緑色をしていますが、時々、♂に似た青みの強い個体も現れることがあります。これを「♂同色型♀」といいます。#クロスジギンヤンマの青い♀

#クロスジギンヤンマ青い♀

↑が「♂異色型、つまりスタンダードタイプの♀」その真下が「♂同色型の♀」です。 ↓写真は、♂同色型♀と♂異色型♀の腹節部の拡大です。

2017年4月22日土曜日

プールのヤゴ (1) ウスバキトンボ 

プールで多く見られるヤゴです。


幼虫(写真↑)・成虫♂(写真↓)

元来は熱帯地方に生息するトンボですが、北へと集団移動(渡り)をすることで知られています。南西諸島を除く日本では4月頃から海を渡ってきた成虫が見られます。5月あたりから数が増えはじめ8月後半から10月頃がピークで、暖かい地域では11月の半ばまで見ることができます。幼虫の成長は非常に早く、一か月~一か月半程度で羽化します。なので、夏は使用となるプールでも、その前後に成長してしまうので「プールのヤゴ」に最も適合した種類のトンボといえます。但し、寒さには弱く、特に幼虫は水温が10℃以下になると生息に支障をきたすため、幼虫で冬を越すことはほとんどできません。成虫は長距離移動に適した幅広い後翅が特徴です。ヤゴはアカネ属のヤゴやシオカラトンボのヤゴより一回り大きく、どことなく熱帯産を思わせる雰囲気をもっています。産卵時期は5月から10月位まで、夏のプールで泳いでいる時でも飛んでくることが多く、目にすることの多いトンボです。

2017年4月10日月曜日

絵で見る同属種ヤゴの見分け方 2) ギンヤンマ属クロスジギンヤンマ

2) クロスジギンヤンマ終齢幼虫 背面全形図

特徴 頭部形状は複眼がギンヤンマよりもやや上下に短く、明らかに幅広く、前方部が尖らず膨らみ気味に終わる。終齢幼虫の複眼部内縁の淡色部分(高分解能域「身近なヤゴの見分け方」58㌻)はギンヤンマのような顕著な伸長は見られず、「角の取れた三角小島」状(「トンボ通信」102号・「房総の昆虫」57号109㌻)となる。頭部先端部もギンヤンマより突出は弱い。
翅胸部はギンヤンマよりも華奢。
腹部背面には2本のリング状の淡色条が通るが、5-6腹節で途切れがちとなり、7節以降は斑紋状となる。腹部第7‐9節に側棘があり、ギンヤンマのそれよりも細く先端が内側に向く。
尾端部のmale projection は細長く伸び、尾毛の1/2弱・肛上片の1/3弱。尾毛はギンヤンマのそれよりも明らかに長く、肛上片の3/2弱。

           下唇側片図

下唇側片の特徴 可動部分に連結する基部外縁はなだらか。側片の下縁は直線状、上縁は直線に近いカーブで先端に向かって次第に細まり、先端は内鉤が曖昧なまま尖って終わり、下唇中片に斜めに接する。ギンヤンマのそれと比べると全体的に扁平で、のっぺりした印象。
#クロスジギンヤンマ・ヤゴ #クロスジギンヤンマ幼虫 #ギンヤンマ属ヤゴ

絵で見る同属種のヤゴの見分け方 1) ギンヤンマ属ギンヤンマ

1) ギンヤンマ終齢幼虫   背面全形図

特徴 頭部は複眼が前後に細長く先端部は尖り気味となる。また、終齢幼虫では複眼内縁の淡色部(高分解能域-「身近なヤゴの見分け方」58ページ)が発達し、「水牛の角」状に伸長する(「トンボ通信」102号・「房総の昆虫」57号109㌻)。頭部前方は顕著に突出し、全体に三角形に近い形状となる。
翅胸部は幅広く逞しい。腹部背面に左右2本の淡色条がやや直線的に入り、8節あたりまで明瞭。腹部第7-9節に側棘がある。側棘は基部が太く、先端はやや外向きになる。
尾端部のmale projection は幅広く短く、尾毛の2/5・肛上片の1/5程度。尾毛は肛側片の1/2に達しない。

        
              下唇側片図

亜終齢~終齢幼虫下唇側片は、くびれが強く、特に前方部の可動部分の基部外縁は強く盛り上がる。側片端鉤部は下縁が直線的で上縁先端部はやや盛り上がって、幅広く終わり下向きに鉤状となって、中片にほぼ垂直に接する。

#ギンヤンマ・ヤゴ #ギンヤンマ終齢幼虫

2017年2月27日月曜日

ヤゴを育ててみよう。(1)

ヤゴを採集したら、トンボになる(これを「羽化(うか)」と言います)までそだててみましょう。

5月~6月頃に採集したトンボになる直前の幼虫「終齢幼虫(しゅうれい ようちゅう)ならば、木の枝(割りばしでも可)をさした容器にいれておけば、そのまま羽化がみられることもあります。

水槽などが理想的ですが、無い場合でも簡単に容器が作れます。

↑の写真はペットボトルで作った容器です。(撮影のため、明るい場所に出してありますが、本来はあまり日の当たらない場所にしましょう。暑さはヤゴの大敵です。水は水道水でも大丈夫の地域もありますが、塩素・等が含まれている場合もあるので、一日、汲み置きした水のほうが安全です。

~~~ ヤゴをもっと専門的に知りたい方のために ~~~

ヤゴを調べるときに、非常に参考になるおススメ本を紹介します。それがこちら「身近なヤゴの見分け方」(世界文化社)です。

横浜市とその周辺の平地の水辺に生息するトンボ幼虫72種を網羅し、その前身写真と似ている種の見分け方を写真で紹介した本です。

著者の梅田孝さんは、トンボ学会員の方です。写真担当の渡利さんから直接購入しました。ちなみに、梅田さん・渡利さん、ともに横浜生まれです。

ヤゴをメインにしたトンボ図鑑は非常に珍しく、画期的ともいえる本です。採集したヤゴの同定には非常に役に立つと思います。

また、この本の終わりの方には、このblogでも紹介したヤゴの採集の仕方と採集したヤゴの飼い方も載っています。


この本の中に、僕もこのblogで再三取り上げたギンヤンマ属2種(ギンヤンマ・クロスジギンヤンマ)とその種間雑種のスジボソギンヤンマの幼虫(終齢幼虫)の複眼部での見分け方が載っているので、少しそちらを詳しく見ていくことにしましょう。

↓ギンヤンマ属のヤゴは終齢になると複眼部の内側にトンボになったときになる複眼の一部が現れます。この部分は終齢幼虫の段階では複眼の機能を持たず「高分解能域」と呼ばれる(実は僕もその本でそういう呼び名であることを知りました)淡色部分となります。その部分の形状がギンヤンマとクロスジギンヤンマでははっきりと異なるため、同定に非常に役立つのです。

通常、ギンヤンマとクロスジギンヤンマの区別は頭の裏側に畳み込まれた「下唇部(かしんぶ)」の先端の内側の鉤状の部分「側片(そくへん)」を調べることでなされるのですが、実はそれは簡単ではなく、意外に誤同定が起きやすい部分なのです。しかも、生きたヤゴで調べようとすると、ヤゴを裏返しにしなければならず、ヤゴが嫌がって暴れたり、お尻の先の尖った尾部付属器で刺されて、痛い思いをしたりすることもあります。複眼の形状ならば、ヤゴを上から見るだけなので、とても楽ですね。

ただ、この「複眼内縁の淡色部分」は亜終齢からやっと現れはじめ、終齢ではっきりするので、それ以前のヤゴでは難しい、という「弱点」があります。でも、ご心配なく。「高分解能域」-つまり内縁の淡色部分のみならず、「複眼そのものの形状」もギンヤンマのヤゴとクロスジギンヤンマのヤゴでは、かなりはっきりした違いがあります。↓の写真を見ればすぐに分かると思います。

ギンヤンマのヤゴの複眼は前後に細長く、先の尖った形をしているのに対し、クロスジギンヤンマのヤゴの複眼はもっと斜め方向に大きく膨らんだ形をしているのが見て取れると思います。(鉛筆で書き加えた→部分)

この2種の種間雑種であるスジボソギンヤンマのヤゴはちょうど中間的な形状です。


                    

#「ギンヤンマ属2種幼虫の外部形態による同定について」 

#「ギンヤンマ属2種幼虫の複眼部形状による同定について」


↓の写真はギンヤンマ幼虫(左列)とクロスジギンヤンマ幼虫(右列)の各部分の違いを比較したものです。

                  

2017年2月23日木曜日

ヤゴをさがしてみよう(3) ヤゴのお持ち帰り方。

採集したヤゴを持ち帰るには。

容器は食品用の保存容器(小~中サイズ)など、身近に手に入るもので十分です。

ガラス瓶などの割れやすいものはなるべく避けましょう。

容器は数個用意しておきましょう。ヤゴはトンボと同じ肉食性で、自分より小さな動物は何でも食べます。また、ヤゴ種類によって(同じ種の場合でも)大小の差がある場合が普通で、大きい種(個体)と小さい種(個体)を同じ容器に入れると、共食いが起きるので、それを避けるためにも数個必要になります。

先ず、容器の底に少しだけ水を入れます。水草などが乾燥するのを防ぐため。


採集したヤゴを入れ、その上にヤゴと一緒に掬い上げた水草(水草の無い水辺の場合は底に堆積した落葉など)を入れます。

水はたっぷり入れる必要はありません。ヤゴは鰓呼吸ですが、その方法は魚とは異なり、水の中でなければ死んでしまうようなことはありません。ヤゴの体が湿っている状態であれば十分です。ヤゴを水の中に入れたまま持ち帰ると、移動の際の水の振動でヤゴが弱ってしまう場合もあって、むしろマイナスです。

個別の容器をまとめる大きなバケツなどがあれば理想的ですが、無い場合は個々の容器にフタをすることになります。その場合、フタに空気穴があるものを選びましょう。あるいは自分で穴をあけてもよいと思います。

ヤゴの採集は、家で飼育して、羽化させることが目的ですので、採集するヤゴは3頭程度(多くても5頭)が目安です。様々な種類のヤゴが採集できた場合は各1頭づつ、あとは写真撮影などもよい方法だと思います。その場合は採集した環境の写真も撮影しておくこともおすすめします。ノートに採集日時・天気・なども描き込んでおきましょう。