2015年12月14日月曜日

『トンボ通信94号』の写真資料

前回、ご紹介した、房総蜻蛉研究所発行の『トンボ通信・94号』に掲載された、拙論考「ギンヤンマ属(Genus Anax Leach,1815)のギンヤンマ(Anax parthenope julius BRAUER,1865)とクロスジギンヤンマ(Anax nigrofasciatus nigrifasciatus OGUMA,1915)幼虫の形態の差異」について、より詳しい写真掲載資料です。

両種の中齢期~終齢までの頭部(背面から見た)形状の違いと頭部側面と側棘の形状の違いです。


2015年10月7日水曜日

「トンボ生態画連作2枚組-クロスジギンヤンマ産卵~成熟まで」を更新しました。



今年の5月に公開したものを新しくしました。前半部の下右部-この画像では2段目右側です。
5/18公開のものと比較してみていただけるとお判りと思います。前回と同様の形式で販売しますので、御所望の方はメールにてご連絡ください。

2015年9月30日水曜日

クロスジギンヤンマ・ヤゴ あかむしを食べる様子の図



冷凍のあかむしを解凍したものをピンセットでつまんでヤゴの眼の前で生きているように揺らすと、このように頭の下に折りたたまれた「下唇(かしん)」を伸ばして捕え、顎に持って行って食べます。

2015年9月13日日曜日

ギャラリー 2 Anax属2種(ギンヤンマ・クロスジギンヤンマ)幼虫の成長過程4段階の比較図。

ギンヤンマ属の2種、ギンヤンマとクロスジギンヤンマのヤゴを中齢2期・亜終齢・終齢の各段階で描き並べてみました。 翅芽(しが―背中の小さな翅)がだんだん大きくなっていく様子に注意して見て下さい。



2種の終齢幼虫の横向き全形図。


ギンヤンマ


Anax parthenope julius











クロスジギンヤンマ
Anax nigrofasciatus nigrofasciatus

2015年9月10日木曜日

ヤゴと間違えやすい水生昆虫2 カワゲラ幼虫

カゲロウ幼虫のような腹節両側の鰓はありません。(脚の付け根に見える毛束のようなものが鰓です) それ以外の見分けポイントはカゲロウ幼虫と同じです。

2015年9月4日金曜日

ヤゴと間違えやすい水生昆虫 1

  カゲロウ類の幼虫―ウスバカゲロウやクサカゲロウなどは「アミメカゲロウ目」といい、全く違うグループです。
ヤゴとの違いは 1) 触角が長い 2) 翅芽の付き方が反対(ヤゴの翅芽は背中寄りのから外側に向かう) 3) 各腹節の両側に一対の鰓がある 4)尾端に3本の尾(ヤゴには尾鰓があるものもあるも、尾は無い)

2015年8月28日金曜日

トンボ・ヤゴ ギャラリー  ギンヤンマ・クロスジギンヤンマ 

ギンヤンマ (上) 成虫 ♂ (下) 幼虫
クロスジギンヤンマ (左) 幼虫  (下) 成虫♂

2015年8月21日金曜日

トンボ幼虫(ヤゴ)をもっと深く知りたい人のために―Anax(ギンヤンマ属)幼虫の同定に向けて 「対比表」による補足説明。

『トンボ通信 94』でギンヤンマ属2種(ギンヤンマ・クロスジギンヤンマ)幼虫の形態の違い-特に頭部の形-を中心に御紹介しましたが、今回はそれをさらに分かりやすくするために「対比表」を作成して、各特徴の違いを纏めてみました。両種幼虫の写真と比較してみましょう
ギンヤンマ終齢幼虫・頭部

クロスジギンヤンマ終齢幼虫・頭部

   




複眼内縁の淡色部分(「対比表」の図の橙色の部分)は、終齢幼虫になって顕著な違いとなります。その他の違いは比較的初期の段階から現れます。「頭部形状-とくに複眼部と頭部前方(青色で色分けされた部分)が一番、判別しやすい部分です。








                              

2015年8月18日火曜日

もっと深くトンボ幼虫(ヤゴ)のことを知りたい人のために-4 「Anax属(ギンヤンマ属)幼虫の同定に向けて―『トンボ通信94』後半

Anax属2種(ギンヤンマ・クロスジギンヤンマ)幼虫は羽化殻でも区別できます。

さらに、『トンボ通信49』では、羽化殻♂♀で見分ける場合、♂は腹部末端の「成虫の下付属器になるべき突起」・♀は腹部裏面の第8節の下から第9節に伸びる「原産卵管」の長さによる方法が紹介されています。

腹部背面(背中)に2本の淡色ラインが走るのがギンヤンマ幼虫
クロギン幼虫は背中のラインが途中で途切れて消失気味

2015年8月17日月曜日

もっと深くトンボ幼虫(ヤゴ)のことを知りたい人のために-その3 Anax属(ギンヤンマ属)幼虫の同定に向けて 『トンボ通信94号』 1

それでは、「下唇部側片」の外縁の形状以外でギンヤンマ属の幼虫の同定が出来ないのか?と問われるならば、「決してそうではない」とお答え出来ます。実際はもっと簡単に見分けられるのです。『トンボ通信94号』ではそれを紹介しています。尚、記事の文中「谷幸三氏の作図を・・」となっていますが、正しくは私・小関裕兄 自身の作画です。お詫びと訂正いたします。





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もっと深くトンボ幼虫のことを知りたい人のために―『トンボ通信49』その2

その続きです。


もっと深くトンボ幼虫(ヤゴ)のことを知りたい人のために そのⅠ― 『トンボ通信』49号より

今回から、より専門的にヤゴを見ていこうと思います。とりわけAnax属(ギンヤンマ属)の幼虫の同定(見分け)のポイントに絞って進めていくシリーズです。前回、ご紹介した、「房総蜻蛉研究所」発行の『トンボ通信』49号・94号・97号を取り上げます。 

2015年8月14日金曜日

互井賢二氏論文『プールのヤゴ救出作戦の位置付け』-その二


『プールのヤゴ救出作戦の位置付け』―互井賢二氏の論文より抜粋

近年、各学校、等で夏のプール開き前のプール清掃の際にプール内に生息しているトンボ幼虫(ヤゴ)の救出活動が盛んになって来ました。その背景には「自然回帰ブーム」があると考えられます。そこで今回はその活動をさらに一歩前進させる「(夏を除く)プールの トンボ池化 計画」のための方法論とも言うべき論考を御紹介いたします。本論考は千葉県在住で千葉県自然観察指導員であり、日本トンボ学会会員でもあり、さらに「房総蜻蛉研究所」を主宰し、会誌『トンボ通信』でトンボ・ヤゴに関する理科・文科両面に亘って意欲的な投稿を続けていられる互井賢二( たがい けんじ )氏の手によるものです。本論考のブログ掲載を快く諒解して下さった互井氏に深く感謝申し上げる次第です。

尚、この論文は、現在、静岡県賀茂郡松崎町の「ギャラリー侘助」にて開催中の
「ヤゴから見えるトンボの不思議」会場に展示してあります。
#「ヤゴから見えるトンボの不思議」@松崎町「ギャラリー侘助」




2015年8月8日土曜日

夏休み特別授業8-「ヤゴの脱皮」

ヤゴが急にエサを食べなくなったら、脱皮が近付いているのかもしれません。

そのときのヤゴの体に変化が見られます。何となく体が伸びた(突っ張った)ような感じがあります。

脱皮が近付いたヤゴ(クロスジギンヤンマ)
普段の様子(クロスジギンヤンマ)-見較べてみましょう。


それでは、ヤゴの脱皮(終齢脱皮)の様子です。

脱皮前のクロギン亜終齢幼虫

透明な青緑色をしています。

脚の間から垂れ下っているのが「下唇」


「下唇」が畳みこまれています。        

脱皮殻



クロスジギンヤンマの終齢幼虫

以上、クロスジギンヤンマ幼虫の亜終齢(終齢のひとつ手前)から終齢へ脱皮する様子を見てきました。亜終齢と終齢では「翅」の長さがずいぶん違いますね。

2015年8月7日金曜日

夏休み特別授業7-「ヤゴを飼ってみよう。」

家でヤゴを飼育して、その生態を観察してみましょう。

ヤゴを飼育する容器
  • イトトンボ類は小型の、トンボ科は中型のタッパーで十分飼育できます。容器に水を5㎝程度の深さに入れ、ヤゴとともに採集した落ち葉や枯れ草を入れます。(イトトンボ類は水草も入れます) トンボ科でもシオカラトンボなど、泥にもぐる種類は、容器の底に泥を浅めに入れます。
  • ヤンマ科の場合は、タッパー(中~やや大きめ)でも飼育出来ますが、広口の「びん」でも飼育出来ます。-終齢になり羽化が近付いたときに羽化用の枝を入れる必要があります。その場合は「びん」のほうが設置しやすいです。落ち葉や水草を入れます。-容器に1頭づつがベストです。

容器を置くところは直射日光が当たる場所は避けましょう。-水温が上がりすぎるのを避けるため。静かな場所に置くようにします。容器の中は採集した環境に近付けるように心がけましょう。

ヤゴの餌

ヤゴはトンボと同じく肉食性昆虫です。自分より小さいものなら他のヤゴを含む水生昆虫(野外では水に落ちた昆虫も食べることがあります)・小魚・小さいオタマジャクシなど何でも食べます。中でもどの種類でも最適なのが「あかむし」です。私の場合はキューブ状になった「冷凍あかむし」を水で戻して与えています。ただし、ヤゴは生きた動物を食べるので、底に落ちて動かない状態のあかむしは食べようとしません。(例外として、水草に引っかかったあかむしがヤゴが動くために揺れたようになるのをヤゴが食べているのをよく見かけます)     一番確実な方法は、ちょっと面倒臭いのですが、広くて浅目の容器にヤゴを移して(水はヤゴの「高さ」程度)、あかむしを一匹つづピンセットでつまんでヤゴの眼の前に持って行き揺らしてみせる方法です。すると大抵のヤゴはすぐに喰いつきます。一日の餌の量は
  • ヤンマ科 10匹程度  トンボ科 5匹程度 イトトンボ類 1~2匹 が目安です。

ヤゴは餌の捕え方が非常に面白く、それもまた自由研究になりますので是非観察してみましょう。

「下唇-かしん」を伸ばして捕食する様子


普段は畳まれている「下唇」

ヤゴは頭の下にある「下唇(かしん)」と呼ばれる部分を伸ばして獲物をキャッチし、口元へ持って行って食べます。