2017年2月14日火曜日

ヤゴをさがしてみよう (1) ヤゴってどんな場所にいるの?

今回から「ヤゴをさがしてみよう」シリーズの始まりです。

皆さんはトンボの幼虫は「ヤゴ」と呼ばれていることはご存知ですよね。ヤゴは池や沼・田んぼや湿地、小川などの水中に住んでいることも知っている人も多いと思います。

でも、一口に「池や沼や小川」と言っても、はっきりとはわからないでしょう?

大きい池(それこそ湖みたいな)や、小さな池(それこそ水たまりみたいな)、様々ですよね。小川にしても、ゆっくりと流れる川もあれば、流れの速い川もありますね。-実はいま挙げたすべてにヤゴは生息しているのですけどね。

でも、大きな湖の真ん中や流れの速い川の真ん中にはヤゴはほとんど住んでいません。大きな湖の真ん中には実はごく限られた種類のヤゴ(ウチワヤンマとかメガネサナエ、という湖の底の泥の中に潜っているヤゴです)がいるのですが、こんなヤゴはとても採集など出来ませんから、これらのヤゴは「例外」としましょう。


下の写真はウチワヤンマの亜終齢ヤゴです。ウチワヤンマは「ヤンマ」とついていますが実際はヤンマ科ではありません。ヤンマ科とは遠い系統で、かつヤンマ科よりも原始的な「サナエトンボ科」に属しています。平べったい体で硬そうな皮膚(外骨格)をしていて、見るからに深い水底に住んでいそうな感じでしょう? 勿論、僕が採集したものではありませんし、僕の住んでいる地域には、これが住んでいそうな大きな池や湖はありません。「かっこいいヤゴ!」と思うかもしれませんが、絶対、無理は禁物ですよ。もしも、大きな池が近くにあって、どうしても見てみたいという人は5月下旬~6月半ば頃ならば、羽化のため、岸寄りの浅い場所でも見られることがありますので、そういう時に採集が出来るかもしれません。もっと良いのは羽化殻を採集することです。




これから僕がヤゴ探しのお手伝いをしようと思っている、その「ヤゴ」は、あくまでも身近に見られる、ふつうのヤゴなので、どうかそこを是非、頭に入れておいてください。


大きな池を探すよりも、こんな感じの小さな池の方が、様々な種類のヤゴに出会える確率がずっと多いのです。これからはこういう池で普通に見られるヤゴをご紹介していきましょう。


上の写真のような、小さくて浅く、かつ水生植物の多い池で一番多く見られるのはクロスジギンヤンマのヤゴ↑です。クロギンヤゴよりもさらに数が多いのが

クロイトトンボ属(クロイトトンボ・セスジイトトンボ・ムスジイトトンボ)幼虫↑です。イトトンボ類の幼虫は沈水植物(植物体の全体が水中にあるタイプ)の中に紛れ込んで生活しています。クロスジギンヤンマ幼虫のよいエサでもあります。

規模が小さく、周囲に木に囲まれ、木陰も多く、尚且つ水生植物も豊富な池はそこに住むヤゴなどの水生昆虫の種類も多く、生態系が保たれた理想的な環境と言えます。でも、こういう理想的な環境は現在は自然状態では本当に少なくなりました。僕の住んでいる下田市(静岡県)周辺ではほとんど見ることがありません。写真の池も人工的に造成された「ビオトープ」です。

一方、「こんなところにヤゴなんているの!?」という環境でもヤゴは採集できます。↓

最初に紹介したビオトープ状の人工池とは全然違った水環境です。コンクリート製の水槽跡に雨水が溜まって、この状態になった場所です。植生など何も無く、ヤゴなんて、とても居そうにない感じがするかもしれません。

が、しかし・・・↓・・そんな場所にもちゃんといるのです。


↑ギンヤンマ(写真↑終齢幼虫・羽化直前・写真↓中齢前期)

コシアキトンボ(腰空き蜻蛉)終齢幼虫↑

シオカラトンボ、またはシオヤトンボ幼虫↑

実は・・・水底に落葉が堆積している、という状態がヤゴが生息するのによい条件だったのです。

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